小金井市での女性のぎっくり腰治療と「ツボがある本当の意味」

ツボ関連

3月になって、すっかり暖かくなってきました。
朝も比較的起きやすいので助かるってなもんですが、花粉症には気をつけないとですね。
いよいよ本格的な春でしょうか。

たまには、鍼灸(はりきゅう)のことについて綴ろうかなと。
自身の忘備録もかねて。

女性の「ギックリ腰」の治療で小金井市へ

先日、小金井市へ出張治療に行きました。
こうやって出張形式で治療を始めて、どのくらい経ったっけ?

「普通のチャリ」を漕いで、お客様のご自宅へ。
インターホンを押す、この瞬間が一番緊張します。

今回は、女性のお客様。
その日の朝に、初めて「ギックリ腰」(急な腰の痛み)になってしまったとのこと。
小さいお子さんもいて、外出が難しいということでお問い合わせ頂きました。

ギックリ腰…これだけ「なった人にしか分からない辛さ」は他にないんじゃないでしょうか。
当たり前にできていた日常動作が、突然できなくなる。

多くの人は「年を取ったからギックリ腰になる」と考えているようですが、年齢との因果関係はほとんどありません。

したがって、若くてギックリ腰を頻発する人もいれば、全くギックリ腰にならない高齢者もいます。

色々困ることはありますが、一番は「トイレ」だと思うんですよね。
便座に座るとか、なかなかのしんどさです。

今回治療させて頂いた女性の方も、しゃがむ・寝ていたところから起き上がるのが特に辛いとのこと。

腰痛・ギックリ腰の原因は「腰」にあらず?

腰が痛い場合、どうしても「腰」に原因を探しがちです。
かくいう私も、そんな思考に陥ってしまうことがしばしば…(苦笑)

ただ多くの場合、腰痛やギックリ腰の原因は「腰」そのものにはありません。
腰から離れた、一見関係のない箇所に改善ポイントがあるものです。

今回は、ある動作をした結果、腰が痛くなるというケースです。
ということは腰そのものではなく、動作に関連する筋肉や関節の連動を整える方が大事だなと。
いくつか例を書き出してみます。

治療ポイント①鎖骨周辺

仰向けで、片足を床から浮かしてみてもらいます。
腰が痛い人にとっては、かなりしんどい動作。

ここで、「鎖骨」にあるツボを押しながら、同じ動作をしてもらいます。
すると、痛みが無くスッと足が上がるようになります。

ということは、鎖骨や肩を緩めることが一つ有効なポイントだと判断できます。
鎖骨周辺のツボをいくつか刺激しました。

治療ポイント②肘

うつ伏せから起き上がる時に、腰に痛みが走ります。

これは動作の中で腰に負担がかかったから痛む、と一つ判断できるのですが、別の見方もできるなと。

起き上がる時って、腕立て伏せのようにまず手を床についてから足を引き付けて起き上がりますよね。
まるで起き上がりこぼしのように、ビョーンといきなり立ち上がる人間はいないわけです。
腕から動作が始まり、そのあと腰から下を動かす。
この連動がスムーズになれば、日常動作を早く取り戻すことができるはず。

ということで、肘周辺のツボを鍼などで緩めます。

治療ポイント③足首

しゃがむ時に、一番負担がかかるのが足首です。
足首が固いと、腰はもちろん膝にも負担がかかり、膝痛につながったりもします。

今回はギックリ腰ということで、しゃがむ動作でやはり腰に負担がかかるのでは?と考えるのが一般的かもしれませんが、別の考え方をしてみます。

「足首が固い・あるいは疲れがあるから、腰に余計に負担がかかっている」

と捉えて、足首を丁寧に緩めていきます。

【治療後】楽に起き上がれて、スムーズにしゃがめるようになった

もちろん腰や臀部にもアプローチしました。
やはり鍼の力は凄い!これは間違いない。

治療後は楽に起き上がれて、スムーズにしゃがめるようになりました。
歩き方も軽快で、傍から見ても別人のようでした。

全快とまではいかなかったかもしれませんが、長いと1週間は残る痛みが、当日だいぶ減ったなら良しとしたいなと。

何より、笑顔で喜んで頂けたことが嬉しかったです!

こちらも治療の様子について書きました。

鍼灸師にとって新しい発見?「ツボがある本当の意味」

鍼灸やツボ・経絡という存在は奥が深いです。
分からないことなんて山ほどある。
それだけに、新しい発見や気づきがあると嬉しいものです。

BAB ジャパンから出版されている、
ツボがある本当の意味
という書籍があります。

個人的にはここ数年で一番分かりやすく、気づきが多い一冊です。

要するに、従来の経絡(人体に存在する気の流れ道)の考えは限界がある。
ツボがある本当の意味を考えていくと、治療の可能性が一層広がりますよ。

という内容です。
本書の3章と4章で、「人間の動きから痛みの原因を探し、治療ポイントを見つける」ためのヒントが書かれているのですが、ほんと興味深い!

筆者は「活法」にも精通している方で、武道の例も多く出てきてより分かりやすいんです。

全身の動きに着目して、筋肉や関節の連動をチェックすれば、適したポイント(ツボ)が見えてくる。
「動きの軸」「維持力と変形力」など、
「この着眼点が欲しかったんです!」と心のなかで叫びましたね(笑)

【余談】治療ベッドって必要でしょうか?

これは余談ですが。

治療の時に、よく患者さんに「力を抜いてリラックスして下さい」と言いますが、本当に正しいんでしょうか。
日常動作をしている時、つまり筋肉などに力が入った時に痛みって出るわけです。
なら治療時に痛みを再現するために、むしろ力を入れてもらったほうが良いはず。
つまり動作をしてもらう必要があると思っています。

力を入れた状態でも痛みがでなければ、きっと日常生活でも痛みは出ません。
極端な話、治療ベッドって必要無い気がしています。
マッサージをする場合は、もちろん必要なのは間違いありませんが。
そのあたりのヒントも、先ほどの本に紹介されています。

これからも研鑽あるのみ!鍼灸は凄い

今回は実際の治療の例から始まり、私が思ったことなどを綴りました。

繰り返しになりますが、鍼灸は凄いです!
令和にもなって、いまだに知らない人が多いのには驚きしかありませんが。

もう「知る人ぞ知る」という治療法でいいんじゃないの?

難しいことも多いですが、トータルで言うと楽しいです。
痛みや辛さから開放された時、人は本当の笑みを見せてくれる気がします。
それが一番の動機ですね!間違いない!
これからも研鑽していきたいです。