素手・素足で練習する重要性

指導・クラス担当

3月から、日曜日MMAクラスのあとに「キックボクシングクラス」がスタートしました。

キックボクシングクラスと名が付いているものの、実際は「打撃研究会」です。

なにを隠そう、私自身が打撃に対してずっと苦手意識があり、これはもう性格としか言いようがない…。

人と競ったり、ましてや人に見せることは無理だろうと見極めました。

ただ打撃の修行は続けていくし、苦手なりにできるだけ上手くはなりたいです。

「名選手が名トレーナーになるとは限らない」これは格闘技あるある。

悔しいけど、生まれながら天性の才能を持つ人間はいるわけで、そういった天才は感覚だけで戦えるのでしょう。でも当たり前のように、それができない人のほうが多いわけで。

自身が打撃下手だからこそ、打撃が苦手だという人の気持ちがよく分かるし、なにが苦手なのかもなんとなく理解できます。

ということで、いろいろと工夫を凝らして練習しています。

当たり前のようにレガースをつけるけど…

私達は、知らないうちに守られているものです。何の話だって感じですが。

今や格闘技の練習では、当たり前のようにレガース(すね当て)を着用します。

個人的に、昔はレガースをつける習慣はなかったと記憶しています。

「スパーリングするときはレガースをつけましょう」という空気になったのは、コロナ騒動のあたりだったような。(うちの道場の話ですが)

これも当時の同調圧力的なものだったのか、そうではないのか。

いつしか、「レガースを付けなければ蹴ってはダメだ」みたいな風潮に変わっていったように思います。

レガースを付けることが、蹴っても良いことの免罪符になっているというか。

レガースをつけたままでは得られないもの

たしかにレガースをつけると蹴る側も安心だし、蹴られた方もダメージが少なく済みます。

ただし、得られないものも存在します。その一つが「足の感覚」です。

効く蹴りを身につけるためには、スネや足の甲の当て方、その瞬間の感覚を掴むことが欠かせません。

それはレガースをつけた練習だけでは得られませんし、ミットを蹴るのとも少し違います。

素足で人体を蹴ることでしか得られない感覚が存在するのです。

足の感覚が得られると、ゆっくり蹴っても効かせられます。

素手・素足で感じる「緊張感」「恐怖感」

ということで、日曜日の「打撃研究会」では素足での練習を積極的に取り入れています。

また最近では、グローブをつけずに素手でのマススパー(ゆっくりなスパー)も始めてみました。

素手・素足のスパーリングでは「緊張感」や「恐怖感」が増します。

これは当たる恐怖というより、自爆する恐怖なのかなと。

素手で頭蓋骨や肘を殴ると、殴ったほうが痛いものです。

素足で膝や肘を蹴ると、蹴ったほうが自爆します。

この時に、「私達は知らないうちに(拳やスネを)守られていたんだ」と気づくってなもんです(笑)

素手・素足だからこそタイミングや当て方を考えますし、ディフェンス面でもヒントがあります。

そして緊張感や恐怖感が増すことで、ゆっくりと丁寧に動かざるを得ませんから、結果的に安全なマススパーができるのです。

さまざまなメリットがあることが分かりました。

技術だけでなく練習法も研究する時間に

もっとも、グローブやレガースをつけることにはちゃんと意味があります。

好みのグローブやレガースを着用すること自体が楽しみの一つですし、怪我は少なくなるかもしれません。

とはいえ、素手素足で練習することにもまた意義があります。素手素足のほうが安全に練習できる場合だってあるのです。

うちの道場は実戦空手を謳っているわけで、いつもグローブやレガースに守られているというのもどうかと思います。

「打撃研究会」では技術だけでなく、練習法も研究する時間にしたいと思っています。